動物関連ニュース'09(12)

中日新聞(2009年12月7日(月))より


【富山】

野良猫処分 減らしたい 
富山市の団体 不妊・去勢キャンペーン

2009年12月7日

おりに捕獲された野良猫。繁殖と処分を減らすには不妊・去勢手術が欠かせない=富山市東町で

写真

2万円前後が半額以下

手術1回 78の命救える

 県内で二〇〇八年度に処分された犬猫は計千四百六十九匹(県生活衛生課調べ)。
うち九割近くを猫が占める。不幸な命を少しでも減らそうと、富山市の動物愛護団体「北日本動物福祉協会」は
〇七年から不妊・去勢手術のキャンペーンを展開し、野良猫の繁殖を抑える活動に取り組んでいる。 (平井剛)

 一月を除く奇数月の第一土曜日と翌日曜日に行われるキャンペーン。
十一月七、八両日も、富山市東町にある協会事務所には、おりに入れられた猫が次々と運び込まれた。

 待ち構えたスタッフが猫の体重を量り、獣医師が麻酔薬を注射。ぐったりしたらバリカンで毛ぞりし、
手術台で不妊・去勢手術を施す。雄は五分、雌でも十五分程度で終わり、手術を済ませた目印として
右耳の先端部が少しカットされる。

 二日間で手術を受けたのは二百五十匹。本来なら二万円前後かかる手術代が、キャンペーンでは半額以下で
済むため、飼い主がペットの猫を持ち込むこともある。だが、大半は住民がわなを仕掛けて捕獲した野良猫だ。

 雌猫一匹を持ち込んだ射水市の女性(73)は「ガリガリにやせ細っていたのでエサをやったら、
家の近くに居つくようになった。これを機に、大切に育てようと思います」と猫を優しく見つめた。

 猫は交尾をすれば、ほぼ100%妊娠し、年に三回は子どもを産むことができる非常に繁殖力の強い動物。
生後七カ月には妊娠が可能になる。

 仮に一度に雄雌各三匹を産み、その子がさらに同じ出産を繰り返していく−とすると、
一年間で一匹から七十九匹へ増える計算になる。「ねずみ算ならぬ、ねこ算式。
だから、野良猫の処分も減らないのです」と協会代表の村田美南子さん(67)は説明する。

 最初の一匹に不妊・去勢手術をすれば、残り七十八匹の野良猫の悲劇は救えることになる。
「だから地道にキャンペーンを続けることが必要なんです」と村田代表は訴える。

 野良猫への餌やりをめぐって住民同士のトラブルが起きるケースもあるが、村田代表は「手術で一代限りの
命にすれば、これ以上増える心配もなく、地域で大切に見守ってやることができるようになる」と話す。

 残念ながらこうした啓発活動を行っているのは、県内では同協会のみ。
不妊・去勢手術に対する行政の補助はほとんどなく、協会と獣医師の善意で成り立っているのが実情だ。

 神奈川県大和市から毎回参加する獣医師の山口武雄さん(62)は「殺処分に税金を使うのなら、
手術代の補助に充ててほしい。その方が結果的に殺処分を減らせるのだから」と話す。

(山口先生は元祖ボランティア獣医さん。野良に限り、オスメスいつでも手術費用は5千円。
神奈川県内ではどれだけ多くの愛護ボランティアが助けられたか分からない。薫陶を受けた弟子たちが
各地で同じ方式で開業している。山口先生は、地方へも積極的に出かけ、多くの猫たち、ボランティアたちを
救っている。国内のみならず海外の僻地へも出かけていると聞く。素晴らしい獣医さんである。)

 村田代表は「猫だって好きで野良になるわけではなく、人間の身勝手が原因。
これ以上の不幸を繰り返さないためにも、不妊・去勢手術の必要性を多くの人に知ってほしい」としている。

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